AI研究
AIが新しいがん治療法の可能性を発見:免疫反応を高める新薬候補を見つける
2025/10/15 0:00:00
•DeepMind Blog
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大規模なAIモデル「Cell2Sentence-Scale 27B (C2S-Scale)」が、がん治療における新たな道筋を発見しました。 このモデルは、個々の細胞が発する信号を理解するように設計されており、 Yale大学との共同研究で開発されました。AIは、がん細胞が免疫システムから隠れがちになる「冷たい腫瘍」を「熱い腫瘍」に変えるための新しい仮説を生成しました。具体的には、免疫反応を活性化させるための特定条件下で効果を発揮する薬剤を見つけ出すという課題を与えられました。 C2S-Scale 27Bは、低レベルのインターフェロン(免疫反応を促すタンパク質)が存在するものの、それだけでは十分な免疫信号を出せない「免疫コンテキスト陽性」環境でのみ、免疫応答を増幅させる薬剤を特定しました。この能力は、AIモデルの規模が大きくなることで現れる「創発的な能力」だとされています。 その結果、キナーゼCK2阻害剤であるシルミタセルチブ(Silmitasertib)が、この特殊な条件下で抗原提示(免疫システムががん細胞を認識するプロセス)を強く増加させることが予測されました。この薬剤は、これまでがん免疫療法との関連が直接報告されていませんでしたが、研究チームによる実験で、シルミタセルチブと低用量のインターフェロンの組み合わせが、抗原提示を約50%増加させ、腫瘍を免疫システムに見えやすくする効果があることが確認されました。